馬場戸山口法律事務所 > 建築訴訟 > 建築トラブルがあった場合の時効は?

建築トラブルがあった場合の時効は?

念願のマイホーム建築やリフォーム工事において施工のミスが発覚した場合、施主は施工業者に対して修補や損害賠償を求めることになります。

しかし、こうした請求を行う権利はいつまでも行使できるわけではなく法律で定められた期間内に手続きを行わなければ権利そのものが消滅してしまいます。

本記事では建築トラブルが発生した際に施主が直面する時効や行使期間のルールについて解説します。

建築トラブルにおける時効の基本的な考え方

建物に不具合が生じた際その責任を追及する法的な構成には複数の種類が存在します。

どの法的構成を選択するかによって適用される時効の期間が大きく変わるため事案に応じた正確な理解が求められます。

請求の根拠による期間の違い

施主が業者に責任を問うための法的な根拠は大きく2つに分類されます。

1つは当事者間で結ばれた請負契約や売買契約に基づく契約不適合責任です。

これは約束した品質や種類に適合しない建物を引き渡したことに対する責任であり民法や各契約約款によって厳格な期間制限が設けられています。

もう1つは契約関係の有無にかかわらず他人の権利や利益を違法に侵害したことに対する不法行為責任です。

建物の重大な欠陥によって居住者の生命や身体あるいは財産に危険が及んだ場合に適用され契約上の責任よりも長い時効期間が設定されている場面が多々あります。

事態の解決を図るためにはこれら二つの責任の期間制限を重層的に捉え期限内に適切な権利行使を行うことが重要となります。

契約に基づく責任の期間制限

請負契約や売買契約に基づく責任を追及する場合、法律や契約書に定められた期間内に不具合の事実を相手方に伝える必要があります。

この期間を過ぎてしまうと修補や損害賠償を求める権利が失われることになります。

民法が定める原則的な通知期間

改正された民法の原則によれば買主または注文者が目的物の種類や品質に関する不適合を知った時から1年以内にその旨を相手方に通知しなければならないとされています。

この1年以内に通知を行わなかった場合、履行の追完請求や報酬の減額請求および損害賠償請求などができなくなります。

ここで注意すべき点は不適合を知った時から1年という主観的な起算点が採用されていることです。

建物の引き渡しから数年が経過した後に隠れていた不具合を発見した場合でもその発見時から1年以内に通知を行えば法的には請求が可能となります。

ただし長期間が経過した後に発見された不具合についてはそれが引き渡し時点から存在していた施工ミスなのか経年劣化なのかを客観的に証明することが困難になる傾向にあります。

新築住宅における法律上の特例

新築住宅の請負契約や売買契約においては民法の原則とは別に住宅の品質確保の促進等に関する法律による特例が設けられています。

この法律では建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について引き渡しから10年間の担保責任を負うことが業者に義務付けられています。

構造耐力上主要な部分とは基礎や柱および屋根などを指し雨水の浸入を防止する部分とは外壁や屋根の仕上げなどを指します。

これらは住宅の基本的な性能を維持するために極めて重要な箇所であるため1年という短い期間ではなく10年間という長期間施主を保護します。

標準的な請負契約約款の規定

公共工事や民間建設工事において広く用いられている標準的な請負契約約款では民法の原則とは異なる責任期間が定められていることが一般的です。

多くの約款では建物の本体部分についての責任期間を引き渡しから2年間と定めており設備機器などについては1年間と設定しています。

これは引き渡しから長期間が経過した後の紛争を避けるための業界標準のルールとして機能しています。

不法行為に基づく損害賠償の時効

契約に基づく責任の追及期間が過ぎてしまった場合でも建物の瑕疵の程度によっては不法行為に基づく損害賠償請求が可能となります。

この場合の時効期間は被害者の保護を目的として契約責任とは異なる基準で設定されています。

建物の基本的な安全性を損なう瑕疵

不法行為責任を問うためには単なる契約違反ではなく建物の基本的な安全性を損なう瑕疵であることが求められます。

これはそのまま放置すれば居住者や近隣住民の生命や身体および財産に重大な危険を及ぼすような欠陥を指します。

たとえば建物の重さを支えきれない脆弱な基礎の施工や倒壊の危険性が高い柱の欠陥などがこれに該当します。

このような重大な瑕疵がある場合、施工業者は契約の相手方である施主に対してだけでなくその建物の居住者に対しても不法行為に基づく賠償責任を負うとされています。

被害者が損害を知った時からの時効

不法行為に基づく損害賠償請求権は被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から一定期間を行使しないと時効によって消滅します。

これを主観的時効と呼びます。

この期間は原則として3年間と定められています。

ただし人の生命または身体を害する不法行為の場合には被害者保護の必要性が高いため特例としてこの期間が5年間に延長されます。

施工ミスによる建物の倒壊で怪我をしたようなケースでは損害と加害者を知った時から5年間は請求が可能となります。

不法行為の時から数える客観的な時効

主観的な認識にかかわらず不法行為の時から20年間を経過したときも損害賠償請求権は消滅します。

これを客観的時効と呼びます。

改正民法によりこの20年という期間は明確に消滅時効と位置付けられました。

建築トラブルにおける不法行為の時は通常建物の引き渡しが行われた時点と解釈されます。

まとめ

建築トラブルにおける請求期間は契約上の通知期限や新築住宅の10年間の義務および不法行為としての消滅時効といった重層的な制限が存在します。

特に建物の基本的な安全性を損なう瑕疵については契約上の期間を過ぎていても20年以内であれば請求できる可能性があります。 トラブルがあった場合には建築トラブルに強い弁護士に相談することを検討してください。

Base Knowledge

当法律事務所が提供する基礎知識

Search Keyword

よく検索されるキーワード

Office Overview

事務所概要

名称 馬場戸山口法律事務所
所属 共同代表 弁護士 長谷川浩一、弁護士 鈴木弘美
所在地 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-4-11 内藤ビル4E号室
電話番号 / FAX番号 050-3173-8647 / 03-5358-9583
対応時間 平日:10:00~18:00
定休日 土・日・祝 ※事前予約で土曜の時間外対応可能です。