医療過誤で損害賠償請求できるのはどんな場合?
医療過誤とは医師や病院側の過失によって患者が死亡してしまった場合などを指します。
医療過誤による損害の発生に対しては、被害を受けた患者やその家族が医師や病院に対して損害賠償を請求することができます。
本ページでは医療過誤について詳しく解説をしていきます。
◆医療過誤3要件
医療過誤で損害賠償を請求するためには、当然ながら法的な要件を満たす必要があります。
医療過誤特有の要件は全部で3つあります。
一つ一つ詳細に解説をしていきます。
①医師や病院の不法行為があったこと
医療過誤に該当するかどうかは、まず医師や病院の不法行為が原因で損害が発生したことが前提となります。
不法行為とは民法709条に規定されているものであり、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害することを指します。
故意とは、どのような結果が発生するかを理解していながらあえてその行為を行うことを指します。
過失とは、どのような結果が発生するかを予期する必要はないが、不注意によって起こった場合を指します。
もっとも、故意によって医療過誤が発生するのは非常に稀有なケースであるため、本記事では過失を中心に解説をします。
医療過誤にあたるかどうかは、医師や病院が医療に携わるものとして注意義務を果たしていたかどうかという点が重要となります。
注意義務に違反していたかどうかの判断としては、「当時の臨床医学の実践において医療水準に基づいた医療行為が行われていたか」という点で判断されることとなります。
例えば医療水準であれば都市部と地方部で治療法の普及の度合いが異なりますし、医療機関が町の診療所か最先端医療を行うことができる大学病院であるかによって判断が分かれることになります。
②医師や病院の不法行為によって損害が生じていること
医師や病院に不法行為が認められた場合であっても、患者の死亡や治療の失敗という結果との間に因果関係が認められる必要があります。
医療過誤における因果関係とは、医療過誤がなければ患者が生存していたり健康状態のままであったことがほぼ間違いない、といえる場合を指します。
例えば手術が開始された段階ですでに患者の状態がかなり悪く、治療の結果死亡をしてしまったような場合には、医師の過失と損害との間に因果関係が認められないということになります。
③生じた損害を金銭に換算できること
損害賠償請求とは、不法行為によって発生した損害に対して補償を求めることを指します。
医療過誤が起きたことが事実であっても、生じた損害を金銭として証明できなければ請求をすることができません。
損害賠償請求は金銭賠償であるため、死亡や後遺症そのものを損害とするものではなく、死亡や後遺症などによって生じた損害を金銭的に評価することとなります。
例えば一家の父が亡くなった場合には、その家の収入がなくなってしまったり、後遺症によって本来の職業を遂行できなくなり、収入を得られなくなったり減ったりした場合などを金銭的に評価することとなります。
また、被害者が亡くなった場合には、遺族の方達の精神的苦痛について慰謝料として請求することができます。
◆請求の相手方
不法行為による損害賠償請求としては、手術を行なった医師本人に対するものと、その医師が所属する病院に対する使用者責任を問うこととなります。
また、医療機器に欠陥があり医療過誤が発生した場合には、医療機器のメーカーに対して製造物責任を問うことができます。
馬場戸山口法律事務所では東京都を中心に、医療過誤、建築訴訟、ソフトウェア紛争などの、専門性の強い分野に特化した業務を取り扱っております。
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