医療事故における「過失」の判断基準とは
医療とは患者に対して医療行為をした時、その現場での水準によった治療や診断をしなければいけません。
その最中に医療事故が発生した際、医師や看護師などの医療従事者にどれほどの過失があったかどうかを判断する必要があります。
過失がない際は、ミスでない医療事故として処理されますが、過失の度合いが大きいケースでは医療過誤にあたることが考えられます。
しかしながら、医療現場における過失の判断基準を設定するのは非常に難しいことだとされています。
今回は医療事故における過失の判断基準について深く考えていきたいと思います。
【医療事故における過失基準とは】
医療事故における過失はおもに3つの基準で判断されると考えられます。
① 医療行為当時の臨床医学の水準によって過失が判断されます。
少しわかりにくいので少しかみ砕くと、過失を疑われた時点ではなく、医療行為がおこなわれた当時の医療技術から考えるということです。
医療とは日々発展していくものであるので、過失が疑われる医療行為をした時点と実際に過失を問う時点での水準が異なる場合があります。
そのため、過失を問う際には医療行為がおこなわれた当時の水準を考慮しなければならないのです。
また臨床医学の実践についても考慮がなされます。
どういうことかというと、論文などで発表される医学と実際におこなわれている医療行為には差異があります。
そのため、論文でその技術が発表されていたとしても、実際の医療現場にまで技術が下りていなければ、
たとえ最良の選択でなかったとしても過失に問うことは出来ないのです。
② 病院ごとの臨床医学の実践の基準を考慮して過失であるかどうかが判断されます。
①で臨床医学が実際の現場でおこなわれる医療行為だとお伝えしました。
しかしながら臨床医学の基準は、それぞれの病院や診療所によって違う場合があります。
例えば医学部などがあり、研究機関を擁している大学病院と、個人で経営している診療所では最新の医療技術が伝わるスピードが異なります。
加えて、病院に比べ診療所の設備の充実度が全く異なるケースもあります。
そのような差異があるのにもかかわらず、高い医療水準で過失を判断してしまうと、
その場の設備や情報で最良の医療行為をおこなったのに過失があると判断されかねません。
ですので、現場の設備や医療技術に応じた水準を決める必要があるのです。
③ 患者に施した治療行為における結果と関連性があるのかが過失の割合が異なります。
しかしながら同じ病や怪我であっても、人にはそれぞれ反応に個人差があります。
また同じ人に、同じ治療方法をおこなってもその時々によって状態の変化が違うケースも存在します。
そう言った部分も考慮され過失を考えることを要するのです。
以上が医療事故における過失の割合についてでした。
① ・②・③のどの判断基準も明確なくくりはありません。
医療事故の過失を追求することがどれだけ難解なことであるのかご理解いただけたかと思います。
しかしながら、自身や自身の親しい人が医療事故に遭い、医療従事者に過失が疑われることがあるかもしれません。
そんな時は一度医療に強い専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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