シックハウス症候群|原因や損害賠償請求について解説
シックハウス症候群とは、建材や内装に含まれる化学物質の放散などが原因で発症する健康被害の総称です。
主な症状には、目の痒み、咳、頭痛、倦怠感、吐き気などがあります。
本記事では、シックハウス症候群の原因そして損害賠償請求の可否について、裁判例を交えて解説します。
シックハウス症候群の主な原因
シックハウス症候群の主な原因は、以下の3つの化学物質が建材や家具から室内に放散されることによって、健康被害を引き起こします。
- ホルムアルデヒド:合板、壁紙、接着剤などに含まれる
- トルエン・キシレン・エチルベンゼン:内装材、家具の塗料・接着剤などに含まれる
- スチレン:ポリスチレン樹脂、合成ゴムなどに含まれる
近年、省エネや断熱性能向上により住宅の気密性が高くなっていることで、上記の化学物質が屋外に逃げにくく、室内に滞留しやすい環境となり健康被害が引き起こされていると考えられています。
併せて、換気不足などによるカビやダニの繁殖によって、アレルギー症状を引き起こすこともあります。
シックハウス症候群と損害賠償請求の可否
シックハウス症候群による損害賠償請求(契約不適合に基づく損害賠償請求を想定)が認められるケースとしては以下のようなケースがあります。
室内の化学物質濃度が基準値を超えていた場合
建築基準法では、ホルムアルデヒドの放散量が多い建材の使用を禁止または制限し、厚生労働省の室内空気環境指針でも、ホルムアルデヒドは0.08ppm以下、その他の化学物質も一定濃度以下とする基準が定められています。
そのような基準値を超えて、室内の化学物質が放散していた場合には、損害賠償が認められる可能性があります。
契約書で「低ホルムアルデヒド建材を使用する」と明記されていたのに、守られていなかったような場合(※1)や、売主・施工業者が建材の安全性を保証していたが、基準を満たしていなかったようなケース(※2)で、損害賠償を認めた事案があります。
※1…平23(ワ)27343号
※2… 平20(ワ)10982号
損害賠償請求が認められるのが難しいケース
一方で、以下のようなケースでは、損害賠償が認められるのは難しい場合もあります。
- 施主の体質的な要因で症状が出た場合
- 施工業者や売主が化学物質の危険性を認識していなかった場合(危険性が広く知られていない時期の施工に関しては責任が認められないとした判例がある)
- 施主が不適切な換気や暖房の使用を行い、自ら有害物質をため込んでしまった場合
まとめ
不動産購入時や施工契約時には、建材の仕様や環境基準を契約書に明記することが重要です。
また、シックハウス症候群の症状が出た場合は、早めに専門機関に相談し、原因を特定することが大切です。
状況によっては、損害賠償請求が可能な場合もありますので、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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