【弁護士が解説】医療過誤損害賠償請求|時効は何年?
医療過誤が起こってしまった場合、発生した損害に対して医療機関に対し責任追及をしていくことになります。
もっとも、証拠収集などの準備に時間がかかったり、損害の発生までに時間が空いてしまったりして、請求権が時効消滅してしまっているのではないかという懸念が発生することもあります。
本稿では、医療過誤損害賠償請求について、時効は何年かも併せて解説していきます。
医療過誤損害賠償請求の概要
そもそも医療過誤とは、医療機関において、医師や看護師などの医療従事者の不注意により患者に損害が発生してしまうことを指します。
医療過誤は時に重い症状や後遺症を引き起こしたり、死亡に繋がったりする危険なものです。
医療機関・医療従事者に過失があり医療過誤が生じてしまった場合には、損害に対する責任追及を行い、損害賠償を請求できます。
これを医療過誤損害賠償請求と呼んでいます。
損害賠償請求には「不法行為」または「債務不履行」という二つの法律構成が存在します。
不法行為は、故意または過失により相手方の権利・利益を侵害することを指します。
この場合医療機関・医療従事者に過失があったことを患者側で証明する必要が生じます。
債務不履行は、契約の内容である義務を履行しないことを指します。
これによって損害が生じた場合には、相手方はその賠償を請求することが可能です。
医療期間と患者は診療契約を結んでいるため、医療過誤があった場合には診療契約上の義務違反があったとして、損害賠償請求をすることが可能です。
二つの構成の間には、実質的に大きな違いはありません。
もっとも、時効期間は両者の間で異なります。
そのため、この観点から有利な方を選択して請求を行っていくことになります。
医療過誤損害賠償請求の時効は何年?
では、医療過誤損害賠償請求の時効は何年なのでしょうか。
まずは不法行為の場合、損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から5年、または医療過誤が起こったときから20年で時効により消滅します。
損害を知った時とは、一般に治療をこれ以上続けても改善が見込まれないとされた時とされており、これを症状固定と呼んでいます。
加害者を知った時とは、医療過誤を疑っている段階ではなく、証拠の収集を行うなどして医療過誤の責任追及可能性を認識し、具体的な追及を始めようとする段階のことを指します。
次に債務不履行の場合、損害賠償請求権は、権利行使が可能であることを知った時から5年、または権利行使が可能である時から20年で時効により消滅します。
権利行使が可能であることを知った時とは、不法行為における損害を知った時とほぼ同義です。
そのため、具体的な追求の姿勢を示した時点で消滅時効が進行します。
また、時効だけでなく裁判における証拠となるカルテなどの保管期限にも注意が必要です。
カルテの保管義務期間は5年、それ以外の記録は2年となっており、これを過ぎると廃棄されてしまう可能性があります。
そのため、医療過誤の事実を知った時にはなるべく早く責任追及を行うことが大切です。
医療過誤については馬場戸山口法律事務所にご相談ください
医療過誤があった場合には二つの法律構成から損害賠償請求を行うことができますが、それぞれに消滅時効が設定されています。
時効が完成してしまいそうなときは、内容証明郵便を送ったり、早めに訴訟提起をしたりして、完成を防ぐことが大切です。
医療過誤の責任追及をしたい場合など、医療過誤についてお悩みの場合には、法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。
馬場戸山口法律事務所では、「人生に降りかかる様々なトラブルを総合的に解決できる法律事務所」をモットーにご相談いただいております。
医療過誤でお困りの場合はぜひご相談ください。
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